今回のリフォームは耐震補強は主たる要望ではありませんでしたが、建築を扱う以上、耐震性を無視することは、職業倫理に関わることだと感じております。リフォームをするついでに耐震性を上げるということはこれからのスタンダードになっていくと思います。しかし、工事費も設計料もあまり多くはかけたくはないリフォームで、構造事務所に構造を依頼することは大変、懐に厳しいお話です。そこで、意匠事務所が耐震診断をし、耐震補強することになります。
家の内側の壁を剥がすと、柱だけでなく、筋交いという斜めの材料があることがわかります。これは、家が地震の揺れに耐えるためのもので、非常に重要な耐力要素です。
この建物は、新耐震基準が定められたあとの建物ですので、筋交いが随所に設置されていました。しかし、筋交い金物がありませんでした。ひょっとすると外壁側にあるのかもしれませんが、部屋内側から確認できるものはありませんでした。
今回の物件では、耐震補強計画をしているのですが、その際に筋交いの存在は、このようなことことを想定し耐力要素としては見ておりません。
この筋交いがあることで、余計な剛性が生じ、家全体の偏心率(耐力要素のバランス)が崩れることもあり、撤去もしくは切断する方もいるそうです。その一方で、バランスに関わらず耐力壁や筋交いが多いほうが、倒壊しにくいというシュミレーションデーターもあるそうなので、わたしは、既存の筋交いはそのまま置いておくことにしました。
昨日、現場が始まって5日目、解体の途中ですが現場に立ち寄ってみたところ、バスルームの解体が終わっていました。表面上はよくわからなかったのですが、想像以上に腐朽と蟻害が広がっておりました。比較的新しい中古物件(築25年前後)でも、痛みやすいところは相当に痛むということがわかりました。在来の浴室(ユニットバスではない浴室)回りは確実にこのような状態になってると思ったほうがよいでしょう。リフォームでは、水回りをされることが多いと思いますが、こうした柱や土台の痛みの修理費用も頭に入れておいたほうがよいと思います。
まとめ
在来の浴室のリフォームでは、柱、土台、構造用合板のやり変えが必要になることを前提とすべき。