夫婦+子供2人
狭小地 木造2階建て
写真:岡田大次郎(Space Clip)
嵐山は観光の町。工事の間、いつ来ても観光客で賑わっている。
ここには、日本らしい日本がある。敷地は、目抜き通りから外れた住宅街のなかにあるが、ごくたまに観光客が迷い込むこともある。店舗のようにいつも誰かに見られているわけではないが、日本らしい佇まいを継承することが、この地に住む人たちの当たり前になれば、町の将来にとって良いことではないかと思う。景観条例もあって、外観は自然と日本らしい形へと向かい、外壁は全面的に木目調のサイディングであるが、押縁をつけることで、ササラ子下見板張りのようなどこか懐かしさを感じさせるファサードになった。
敷地の広さは60㎡と狭小地の部類で、道路面以外は住宅に囲まれている。どのようにして、プライバシーを得ながら、明るさや開放感を取り入れるか、どのようにして広さと機能性を両立させるか。狭小地住宅の面白さは、相反する要望をどちらも満足させることにあると思う。
この住宅では、2階にダイニングキッチンを配し、上部にトップライトを設けている。建替え前は、リビングダイニングが1階にあったため、採光は道路面からの窓からだけで薄暗く、「明るい家に住みたい!」というのがクライアントの切なる願いであった。その願いは結実し、日中は照明をつける必要がないくらい本当に明るい。広さに関しては、ロフトや階段、寝室との間から可能な限り壁をなくしてワンルーム空間とし、視界としての広がりが得られるよう工夫をした。
ダイニングキッチンには、移動式のカウンター収納。コンベクションレンジや炊飯器、ダストボックスなどがここに収まる。キャスターをつけて可動とすることで、狭い空間に様々な活動の余地を残している。重量が重いこともあり、日常的に動かすことはないが、こういった仕掛けは、暮らしの遊びや楽しさに繋がると思う。話の種としても大変良しである。
狭小住宅では、リビングダイニングにトイレが面することも…
トイレの戸
あけて愉しや
マリメッコ
用を足す場所がただそこにあるのではなく、戸を開けた瞬間、洋服の華やかな裏地をふと垣間見るような意外性があってもいいのかもと考えた。
家づくりには当然ながら予算がある。限りある予算の中で、家づくりを喜びのあるものにするにはどうすればよいか?どうすれば、創意工夫を凝らした家になるのか、遊びや楽しさがある家になるのか。方法は色々とあるかもしれないが、個人住宅を主に手掛ける建築家に家づくりを依頼することが一番の近道なのではないかと思う。(文:周山)
施工:株式会社かわな工業
